企業理念が仕事を“志事”にする

2018年02月25日

「企業理念」が仕事を志事にする

 お客様からご相談をいただく際、特に経営者が抱えるお悩みに共通して浮かび上がってくるのが「企業理念」というキーワード。

 経営者が会社を創業する時、そこには必ず自分の想いを形にした「企業理念」があります。

会社を1本の木に例えるならば、商品やサービスは枝葉に過ぎず、その根本にあるものこそが「企業理念」です。

 

そして、それは「志」と言い換えることもできます。

企業理念を持って働くということは、単なる「仕事」の枠を超えた「志事(しごと)」という充実した働き方、ひいては生き方そのものにつながっていくのではないでしょうか。

 

ところが、人が増えて会社の規模が大きくなるにつれ、その本当の意味や価値を社員一人ひとりに理解させることが難しくなり、企業理念は次第に軽んじられていきます。

根であるはずの「志」を忘れたとき、仕事は自分本位の「私事」、あるいは機能を全く果たさない「死事」になってしまうのです。

 

その最も大きな例が、記憶にも新しいJALの経営破綻です。

JAL再建に取り組んだ稲盛和夫氏は、「JALフィロソフィ」の策定をはじめとする社員の意識改革を積極的に行ったと言われています。会社を根本から立て直すためには、まず社員一人ひとりの考え方や行動を変え、実践させることが重要だと考えたのでしょう。

やがて社員たちの意識が変わり、サービスが向上した結果、新生JALは経営破綻からたった2年で史上最高の営業利益を計上するという見事な復活を遂げました。

 

JALの例から見ても分かるように、企業理念を社員一人ひとりに浸透させることは、経営者にとって最も重要な課題であると言えます。

社員一人ひとりの意識を、自分本位の「私事」から「志事」に変えていくことが1つのゴールなのです。

 

社員一人ひとりが「自分の価値」に気付くことの重要性

 では、どうしたら社員一人ひとりが「志事」をしてくれるようになるのでしょうか。

「企業理念を浸透させる」と言っても、ただ頭ごなしに唱えるだけでは意味がありません。

 

社員一人ひとりが志を持って働くためには、何よりも「自分の価値」に気付くことが大切だとわれわれは考えています。

 

ここで考え方のヒントとして取り上げたいのが、人間の欲求を5段階の階層で表した「マズローの大欲求」です。

マズローの大欲求では、番下に「生理的欲求」、番目に「安全欲求」、番目に「所属と愛の欲求」と続き、番目は「承認欲求」、そして一番上にあるのが「自己実現欲求」です。低次の欲求が満たされることで、より高次の欲求が生み出されていきます。

 

さらにマズローは、このピラミッドの上に「共同体の発展欲求」という段目を加えようとしていました。

つまり、土台となる段階のピラミッド=自分自身の欲求が満たされることで、はじめて会社という共同体に意識を向けることができるのです。

 

しかし、自分の価値に気付かず、仕事が「私事」や「死事」になっている人たちの中には「ただ生きるためだけに働いている」という人も少なくありません。大欲求に当てはめると、番下の「生理的欲求」まで欲求のレベルが下がっている状態です。

この状態では、とても自己実現やその先にある共同体(会社)の発展にまで意識が向くことはありません。

 

まずは、低層にある生理的欲求・安全欲求・所属と愛の欲求と、下から徐々にその欲求を満たし、ピラミッドの土台となる部分を積み重ねていくことが重要です。

その上で、経営者は社員一人ひとりの承認欲求・自己実現欲求を満たす=自分の価値に気付かせる・思い出させることが必要になります。

 

「目的」を果たすことで自己実現欲求を満たす

 そのためには、社員一人ひとりが「自分の価値」を発揮できる仕事をすることが重要だとわれわれは考えています。

 

例えば「この人は営業が苦手だから事務を」といったように、その人が自分らしく輝けるポジションを用意してあげることが、経営者にとっての大きな仕事なのです。

そうすることで、社員たちの中には「企業の期待に応えたい」という想いが生まれます。

こうした相互関係を社員と会社(経営者)の間で育てていくことで、一人ひとりの意識が自分軸=「私事」から、相手軸=「志事」へと次第に変化してきます。

 

さらに、働く上での「目的」と、それを達成するための「目標」を作ってあげることも大切です。目標と目的は似た言葉ですが、目標はあくまで1つの通過点であり、本当のゴールは目的にあります。

この時の「目標」は、「会社のやりたいこと」とイコールにできるのがベストでしょう。

 

そして、目標を達成した先にあるのが「目的」です。

目的とは「何(誰)のために、なぜ自分(企業)が存在するのか?」という、存在理由に他なりません。

社員一人ひとりが目的(存在理由)を果たすことで「自分は社会に貢献している」という達成感を持つことができ、それぞれの承認欲求・自己実現欲求が満たされていくのではないでしょうか。

 

社員一人ひとりの仕事が「私事」から「志事」に変わり、承認欲求・自己実現欲求が満たされることで、さらに上の段階である「共同体の発展欲求」=会社という大きな歯車が回り始めるのです。

 

「企業理念」を受け継ぐ社員を育てていこう

企業理念を浸透させ、社員が志を持って働くためには、まず一人ひとりが「自分の価値」に気付くことが大切です。

こうした機会に恵まれず、自分の価値に気付けないまま仕事が「私事」や「死事」になってしまった社員たちの多くは、いずれ会社を去っていくでしょう。

 

その際、経営者は必ず「自分がいけなかったのでは?」と考えます。

ところが、それが何人も続くと現実を受け止めきれず、自分で自分を守るために「社員が辞めるのは仕方ない」と思い込むようになります。

現実から目を逸らし、「自分の元に集まってくれた人たちを大切にしたい」という本当の気持ちに気付けなくなっている経営者をわれわれはたくさん見てきました。

 

しかし、諦める必要はありません。

経営者が創業した際に抱いていた「企業理念」=志を理解し、受け継いでいく社員たちを育てることはできるのです。

 


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