新入社員と信頼関係を築く3つの秘訣

2024年01月31日

コロナによる規制が緩和され始め、それまで採用活動を控えていた企業が積極的な採用活動を再開し始めた様子が見受けられるようになりました。新入社員が職場に加わることによって、新しい可能性や新鮮な視点が持てるようになりますが、ますます多様な価値観を持った新入社員をどのように受け入れたら良いかという相談もいただきます。本文では、新入社員とよりよい関係を築くために最も大切なことに焦点を当て、信頼関係を築く秘訣をお伝えします。

信頼関係を築く秘訣その1:相手を知る

これから採用する若手の多くは、Z世代(1990年代半ばから2010年代初頭に生まれた人々)に入ると思います。生まれてきた時からインターネットが存在しており、多くの情報を手に入れることが当たり前の社会で生きてきたZ世代の特徴を知り、理解することが大切です。

Z世代の大きな特徴として、「意味や価値を大切にする」「個人の価値と一致していること」があります。人種、性別、文化などに対する多様性を受け入れ、環境問題や社会的責任に対する意識が強く、「それは何のためにするのか」と物事の意味や価値を重要視します。また、自己表現を重視し、自分らしさを大切にします。よって、自分に合うと思ったものを選び、逆に合わないと思ったものを切り捨てる傾向があります。

職場においても「理想とする上司像」に年代的な変化が見られます。

これは、一般社団法人日本能率協会が調査した「2022年度「新入社員意識調査」の結果です。

「あなたが理想だと思うのはどのような上司や先輩ですか?」という質問の第1位の回答は、「仕事について丁寧な指導をする上司・先輩」でした。10年前の2012年から比べると約20%上昇しています。

この背景には、Z世代の特徴にある「意味や価値を大切にする」があると考えます。仕事においても「その仕事は何のためにするのか」きちんと理解したいという思いがあるのでしょう。

 

一方、10年前と下降した回答は「場合によっては叱ってくれる上司・先輩」でした。この背景には「個人の価値と一致していること」があると考えます。上司・先輩の価値観を押し付けられることを嫌う傾向にあることが調査結果からわかります。

信頼関係を築く秘訣その2:バイアスを知る

皆さんは「バイアス」ってご存知ですか?先入観、偏見、思い込みなど、偏ったものの見方をすることです。

このバイアスが人間関係を悪くする要因になっていることがあります。

代表的なバイアスを3つ紹介します。

確証バイアス

自分の考えや仮説を肯定するために、自分にとって都合の良い情報ばかり集めてくることです。

例えば「この本には自分と同じ考えがある。だから自分の考えは正しい」とか「みんなも使っているから私も使う」という状態です。

認知バイアス

自分のこれまでに見たり聞いたりすることからくる先入観や経験則、直感などに頼って非合理的な判断をしてしまう心理傾向です。例えば飛行機事故のニュースを見た人が「飛行機は怖いから乗りたくない」と思い込み、飛行機事故よりも可能性が高い交通事故を引き起こす車を移動手段にしようと決めてしまうことです。

アンコンシャスバイアス

無意識の偏見です。例えば「男性は人前で泣いてはいけない」「女性はお茶出しするのが当たり前」という考えです。

 

これらのバイアスは誰もが持っています。このバイアスは、皆さん自身が持っている「正しさ(価値観)」にあります。この正しさで人を裁く意識が人間関係を悪化させます。新入社員を受け入れる方達は、新入社員が1日でも早く戦力になってもらいたいと期待を込めて、良かれと思って「こうすべきだ」「あのようにすべきだ」とアドバイスをしてしまいがちです。この時に必要以上に「バイアス」をかけていないか意識してみてください。

信頼関係を築く秘訣その3:コミュニケーションの量を確保する

人と信頼関係を築くためには、コミュニケーションの量がとても大切です。

心理学者のジョセフ・ルフト(Joseph Luft)氏とハリントン・インガム(Harrington Ingham)氏の両名によって1955年に考案された概念にジョハリの窓があります。

下の図のように縦軸を「他人が知っているか、他人が知らないか」とし、横軸を「自分が知っているか、自分が知らないか」として4つに区切ります。

そして、以下の「4つの窓」に分類します。

 ①「開放の窓」:自分も他人も知っている解放された領域

 ②「盲点の窓」:自分が知らなくて、他人が知っている気づいていない領域

 ③「秘密の窓」:自分は知っていて、他人が知らない隠している領域

 ④「未知の窓」:自分も他人も知らない未知の領域

信頼関係は相互理解を深めることで構築されます。上記の「開放の窓」を広げていくことです。自分も他人も知っている状態を増やしてゆきます。そのためには、自分の考えや気持ちを他人に伝える『自己開示』と相手から自分はどのような人間に見えるのか伝えてもらう『他者理解』が必要になります。この繰り返しが、相互理解による信頼関係構築のプロセスです。よって、コミュニケーションの量が大切になります。

 

是非、新入社員の皆さんとコミュニケーションを取る時間を確保し、新入社員の皆さんに興味・関心を持って、相互理解を深めてください。


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