「怒り」の感情、コントロールできていますか?
2023年11月27日
先日、「怒り」の感情をコントロールすることを目的とした研修を実施しました。
私たちは強い怒りを感じた時、必要以上に相手を傷つける言葉や態度を投げかけてしまうことがあります。結果、今まで築き上げてきた信頼関係は一瞬にして崩れてしまうこともあります。
怒りは時に有益なものとなり得るものですが、コントロールされない「怒り」は人間関係や健康に悪影響を及ぼすこともあります。本文では、自らの怒りの感情に気づき、セルフコントロールできる方法を、ご紹介させていただきます。
怒りを生みやすい「べき思考」
「べき思考」とは、「~すべき」「~すべきではない」という考え方に支配された状態を言います。
職場で起こりやすい事例を紹介します。
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固定的な規範:「同僚はいつも積極的に協力すべきだ」
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現実とのギャップ:「上司は常に公平であるべきだ」
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柔軟性の欠如:「会議は常に時間通りに始まるべきだ」
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他者への批判:「チームメンバーはいつも私の意見に賛同すべき」
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自己批判:「私は常に完璧な成果を出すべき」
例えば、「同僚はいつも積極的に協力すべきだ」という考えを強く持っていた場合、協力的でない同僚を見たら、とてもイライラして「あなたは何故協力しないの?」と強い口調で伝えてしまうのではないでしょうか?全ての事例において、 「~すべき」と思う反対のことをしている人の言動や行動を見ると怒りの感情は強くならないでしょうか?
怒りを回避するテクニック
怒りの感情が湧き上がってきたとき、それを認識し、受け入れることが大切です。相手に対して怒りをぶつける前に、何が自分を怒らせているのか考えてみましょう。
先ほどの「同僚はいつも積極的に協力すべきだ」という考えが強くなりすぎてしまい、みんなでやる仕事に対して協力しない同僚に対して「あなたは何故協力しないの?」と怒鳴ってしまったことがあったとします。その時、「同僚はいつも積極的に協力すべきだ」という考え方に対し、このように質問してみて下さい。
「それは本当ですか?」
「それは、100%本当だと言い切れますか?」
いかがでしょう?「同僚はいつも積極的に協力すべきだ」という考えが「そんなことないかも?」とゆるめられませんか?
自分の考えが
「そんなことないかも?」
とゆるめることができたなら、「同僚はいつも積極的に協力すべきだ」という自分の考えを必ずしも正しくない理由を考えてみましょう。
「同僚はいつも積極的に協力すべきではない。なぜならば、〇〇〇」
「〇〇〇」に何が入りますか?
例えば、「他に協力してくれる人がいるから」とか「同僚には他にする仕事があるから」はどうでしょう?
このように「同僚はいつも積極的に協力すべきだ」という考え方を書き換えることができると、協力的でない同僚を見ても怒りは感じにくくあります。
怒りは「二次感情」
前項では、怒りを感じた時に回避する方法を伝えましたが、心理学では、怒りは「二次感情」と呼ばれています。二次感情とは、二番目に出てくる感情のことで、怒りよりも先に生じている感情があるということです。一次感情とは、喜び、悲しみ、不安、驚き、嫌悪、恐怖などといった基本的な感情を指します。
例えば、「上司は常に公平であるべきだ」という考えが強く、自分の上司が自分を公平に扱われなかった時、怒りを感じたとします。この怒りの一次感情は、公平に扱われなかった悲しみやこの先も公平に扱われないのではないかという不安ではないでしょうか?
自分の感情を理解し、コントロールする方法
自分自身の感情をコントロールするためには、自分の感情を知ることから始めます。
日常的な感情の変化を観察することで、特定の感情が生じるパターンを発見できます。一日の終わりに数分間を使って、その日に感じた感情を振り返ってみるのが良いと思います。
日記では、どのような状況で感情が生じたか、その時どのように感じたかを記録します。日記を続けると、自分の感情パターンが発見でき、自分の感情に敏感になることで、自分自身の反応や動機をより深く理解することができます。
理解できた自分の感情をコントロールするには、自分が感じた全ての感情は正常であり、感じること自体が間違いではないと、自分の感情に正直になることが必要です。
また、感情に対する自分の反応は選ぶことができると知ることが必要です。特に「怒り」のピークは6秒程度といわれています。強い感情を感じた時は、一時的に反応を遅らせ、冷静になってから対応することが大切です。
自己理解を深める
今回の研修で、参加者さまが興味のある項目を聞いてみました。
- 感情をコントロールしたい
- 自分自身を理解したい
の二つがもっとも多い声でした。
自分自身を理解することは、自らの力で感情をコントロールする力に繋がります。自分の内面に向き合い、感情と上手に付き合うことで、感情を適切にコントロールすることが可能となります。一朝一夕には身につきませんが、日々の実践を通じて徐々に向上します。大切な自分の感情を理解し、相手とより良いコミュニケーションを取り合ってゆきましょう。
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