アドバイスが伝わらないのには理由がある！

皆さんは、力になりたい部下や同僚に対して、

「良いアドバイスをしたのに、行動しないの？」

と思ったことはありませんか？

 

二人の会話

あなたがAさんだと思って、以下の会話をイメージしてみてください。

Aさん：「実は僕の奥さんが最近不機嫌なのです。」

Bさん：「どうしたの？」

Aさん：「調子が悪くて、忙しそうで、不機嫌で、どうしていいかわからないのです。」

Bさん：「それは、会社休んで奥さんと一緒にいれば解決できるよ。」

 

いかがでしょうか？
Bさんからのアドバイス通りに行動しますか？

 

アドバイスするタイミング

きっとBさんにも奥さんがいて、Bさんが忙しく働いているので奥さんが不機嫌な時があり、一緒にいる時間を作ったら奥さんの不機嫌が直った経験をしたのと思います。
だからこそ、Aさんにも効果があると思い、良かれと思ってアドバイスしたと思います。

 

しかし、Aさんは話の途中でアドバイスされ、会話が止まってしまい、
「まぁ、そうですね　・　・　・　」
という返事をするしかない状態となってしまうのではないでしょうか？

 

Bさんのアドバイスが間違っているのではなく、アドバイスをするタイミングが早かったのです。

 

リターンリスニング

では、Bさんはどうしたら良かったのでしょうか？

もっとAさんの話を聴く必要があったのです。

傾聴のスキルの一つに「リターンリスニング」があります。
これは、相手の言ったことを繰り返すスキルです。

このスキルを使うと上記の会話はどうなるでしょうか？

 

Aさん：「実は僕の奥さんが最近不機嫌なのです。」

Bさん：「機嫌悪くてどうしたの？」

Aさん：「実は子供が最近産まれたのです。それが双子で。」

Bさん：「お子さん産まれたのですね、それはおめでとう。双子さんだったんだ。」

Aさん：「そうなのです。双子じゃないですか、うちの奥さんも仕事しているじゃないですか、夜泣きひどいじゃないですか、だからなかなか寝れなくってすごく不機嫌なのです。」

Bさん：「あぁ、そう、お子様が二人も産まれて、しかも双子で、奥さん寝る時間がなくて、子育てに時間を費やしてそれで機嫌が悪いと思っているのだね。」

Aさん：「そうなのです、それはそうじゃないですか、夜も寝れない、仕事もしなければいけない、子供は二人、それは疲れますよ。僕も最近仕事が忙しくって、なかなか奥さんと時間を作ってあげる事ができないのです。」

Bさん：「あぁ、なるほど。奥さんの気持ちが分かりながら、状況がわかりながら、自分の仕事が忙しくって、同じ一緒にいる時間をとってあげられなかったのだね、そこを今どうにかしたいと思っているのだね。」

Aさん：「そうですよ、僕が忙しいので、もっともっと奥さんと時間を費やしてあげたら奥さんの機嫌は直るかなと思うのです。」

Bさん：「そうですね、それはいい事だと思うよ。」

と、こんな展開もあるのではないかなと思うのです。

リターンリスニングの効果

Aさんが言ったことをBさんがAさんに伝え返す。

このリターンリスニングは、Bさんが自分（Aさん）の言葉を受け取ってくれたという安心感を伝えてくれます。
そして、AさんとBさんに信頼関係を築くことができます。

 

また、Aさんは、自分が話した事がそのまま返ってくるため、それが問いになるわけです。

人は、問いに答えようとする習性があります。

問いを立てられ人は、考える事ができます。意味を付けることができます。意義を感じる事ができます。そこで答えを、自分で導きだしていくのです。

 

効果的なアドバイスのタイミング

リターンリスニングを何回か繰り返しをしていくと「自分が一体何をすべきなのか」という事に辿り着く人もいます。

しかし、迷ってしまう人もいます。

その迷ってしまうときにアドバイスをしていただきたいのです。

 

Bさん：「そうは言っても、仕事が忙しくてそれは離れられないし、でも奥さんは忙しいし、奥さんを手伝ってあげたいし、そんな時に僕から一つ提案があるのだけど、聴いてもらっていい？」

Aさん：「なんでしょう？」

Bさん：「人の力を借りるっていう事もできるよね。こんな時こそ、仲間や同僚がいるのだよね。であるならば、僕を含めて、周りの人に仕事を手伝って貰うってことはどうだろうか？」

 

いかがですか？
このタイミングならBさんのアドバイス通りにやってみようかな？と思いませんか？

ぜひ、力になりたい部下や同僚に対して、「良いアドバイスをしたのに、行動しないの？」と思っている人は、リターンリスニングを上手に活用していただきたいと思います。